このようにしてただでさえダブつき気味なこの分野のジョブマーケットに、不況が追い打ちをかけた。ウェブ関連よりも、業務プロセスの自動化のような、企業 内の業務効率を改善して人件費等のコストを減らすためのテクノロジーの設計や実装のほうが重視されるようになってきてしまったのだ。また、不況ゆえに企業 の合併や買収も盛んとなり、組織の統合に絡んで、ITアーキテクチャやプロジェクトマネジメントといった、社内システムや組織の設計や運用、管理に関する いわば技術とビジネスの境界面にあるような総合的なITスキルが重視されるようになったのである。
私が思うに、結局のところこれはソフトウェア開発の分野が成熟期を迎えたということに呼応しているのではないか。今までは、The Next Big Thingが何か、次の破壊的イノベーションは何か、ということが重視されてきたため、多くの失敗をも織り込んだ形で、あまり結果を厳しく問わずに様々な 実験が行われてきた。その主戦場になっていたのがここ数年はウェブサービスの分野で、結果としてウェブ開発を得意とするような発想力豊かで尖った人材が ITエンジニアの花形となったというわけだ。
ひとを一度も傷つけることなく、
誰かに一度も悲しい思いを
させることのない人生は、
この世にあるのだろうか。
わたしにはわからない。
誰からも傷つけられたことがなく、
悲しい思いを一度もしたこともない人生は…
よかったね、とは思うけれど、
幸せだったね、と言えるのかどうか、
わからない。
(カシオペアの丘で、重松清)
どうして本当に欲しいものは
いつも目の前を通り過ぎてゆくのだろう
「いてほしい」と望めば放れてゆき
嫌だと思っても繰り返される
いつも期待は裏切られ
幸運は長く続かなく
人生はいつも思いどおりにならない
それでも幸運が不運に変わることがあるのなら
不運が幸運に変わることもあるのだろう
そう信じて生きてゆく
(漫画の「僕等がいた」)
現実を変えられなくなったら、
現実を見るその目を変えよう。
何かにしがみついているときに背中を引っぱられたら、
しがみつく力を反射的に強めるだろう。
これと同じで、相手への思いを断ち切る秘けつは、
流れに身をまかせることにある。
無理に離れようとすると、かえって愛着が強くなる。
そのままの状態で、相手への愛をしのび、
相手をどれだけ必要としていたかを知り、
与えられていたすべてに感謝し、
どれだけ相手を取り戻したいと思っているか
を感じとることだ。
失った相手をそんなふうに思うと、
初めのうちはますますつらくなることだろう。
怒りや、寂しさや、怖れや、悲しさなどが
こみ上げてくるだろう。
だが、それは一時的なもので、
それを感じてこそ愛着を断ち切り、
心を癒すことができるのだ。
(ジョン・グレイ『だからあなたは今でもひとり』)